メガバンクを中心とする日本の銀行の現状と将来の見通し、解決すべき課題を取り上げた本である。タイトルは「銀行員はどう生きるか」だが、内容は「銀行業務がどう変わるか」と言っていいだろう。
銀行の将来について悲観的な論調はよく見かけるが、邦銀の遥かに先を走る米国の大手銀行、証券会社の現状を引き合いに出して、具体的な課題を提起するという視点に立った内容は少ないと思う。
昨年末にかけてメガバンク3行が相次いで、業務量、人員の大幅な削減計画を打ち出した。ゼロ金利政策などの影響で本業の利益が大きく減少しているなか、コスト削減を目的としているのは明白だが、筆者は同時に顧客の利便性や満足度の向上を目指さないと銀行の未来は開けない、としている。
一方、先行するバンカメなど米銀大手は、邦銀とは逆に数百店規模で店舗を増やす計画を実行中という。ただし増やすのは1店舗当たりの人員が数名という小規模店舗だ。機能が高度化したATMとバックオフィス業務のIT化が可能にしたとのこと。
これを極限まで進化させたのが本書で紹介される米エドワード・ジョーンズ証券だ。本書によると1万4259店舗(同社のWebサイトでは12,700支店以上とある。ちなみに野村証券はWebサイトでは本店を除き155店舗)を構えているが、基本は「1店舗1人」だという。しかも採用基準は「その地域で信頼されている人」だそうだ。
ちなみに米銀の経営者は、店舗を「支店(ブランチ)」と呼ばず「店(ストア)」と呼ぶことがあるらしい。顧客本位の営業姿勢に立つとこういう言葉遣いになるのだろうが、私が個人的に利用しているメガバンクの「支店」とその隣にあるコンビニの「店」を参考までに比較してみた。
営業時間
銀行:平日の9:00から15:00のみ
コンビニ:24時間365日
店舗フロア
銀行:広いうえに2階もあることが多い。従業員向けの業務スペースの比率が高い
コンビニ:限られたスペースを最大限に有効活用。バックオフィスは目立たない
人員の構成
銀行:客よりも従業員の方が多かったりする、非効率
コンビニ:基本的に客の方が多い、店員は数名で効率的
手続き
銀行:まず伝票に記入・捺印、順番札を取って待機、手続き後再度待たされる。投資信託の購入は別窓口、融資は2階に回される
コンビニ:食品の購入、弁当の温め、宅配便の発送、各種支払いなどが一度に一か所で済む
トイレ
銀行:あるのを見たことがない(米銀にはあるらしい)
コンビニ:原則自由に利用可能
思いつくままに書いてみたが、自分優先の銀行と顧客優先のコンビニでは、そもそも「考え方のモノサシ」が違うので、比較の対象にすらならない。こうした思考回路に染まり切った銀行の体質はそう簡単には変わらないだろう。
ただ、変化の兆しも見られる。そのいい例が本書の冒頭で紹介される「三井住友銀行の中野坂上支店」だ。ここは個人向け店舗にも関わらずビルの11階にあり、フロアで支店長が出迎えるという。ペーパーレスが徹底しているので、決められた伝票への記入も捺印の必要もない。ちなみに支店長室もないそうだ。
まだ実験店舗の段階のようだが、軌道に乗り始めれば「豪腕の住友」だけに一気に全国の支店のあり方が変貌する可能性はある。「右へ倣え」の気質が強い銀行業界だけに他のメガバンクなどが追随することも十分に考えられる。
いずれにせよ、フィンテックなどIT技術の急速な進展により「銀行」も「銀行員」も向こう数年で考えられないような「変革」を迫られる可能性が大きい。対応できない場合は「消滅」も杞憂ではないはずだ。
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銀行員はどう生きるか (講談社現代新書) 新書 – 2018/4/19
浪川 攻
(著)
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購入オプションとあわせ買い
三井住友がライバルに先んじるためにとった隠密行動とは!?/改革の面で大きく出遅れているメガバンクはどこ!?/銀行員の一生と再就職先とは!?/日本でも支店長の年収は激減し、“一国一城の主”からフロアマネジャーへ!?/若手世代はもう銀行から逃げ出そうとしている!?/銀行はどうやって人員を削減するのか!?……いま、金融業界では何が起きているのか。今後生き残るのはどのような銀行なのか。
■ 銀行の支店はシャッターを開けるたびに赤字!?
■ 三井住友がライバルに先んじるためにとった隠密行動とは!?
■ 証券ビジネスのほうが有望!?
■ 改革の面で大きく出遅れているメガバンクはどこ!?
■ 地方銀行の過半数が赤字!?
■ 銀行員の一生と再就職先とは!?
■ アメリカの銀行では支店長の年収は600万~700万円!?
■ 日本でも支店長の年収は激減し、“一国一城の主”からフロアマネジャーへ!?
■ 若手世代はもう銀行から逃げ出そうとしている!?
■ 銀行はどうやって人員を削減するのか!?
■ 今後、銀行の人事制度は変わり、配置転換が続出!?
--------------------
マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツが
「銀行機能は必要だが、今のかたちの銀行は消えてなくなる」
と唱えたのは、1994年のことだった。
それから20年以上経過した現在、予言は現実化しつつあるともいえる。
進化論的に生き残ったものは、
新たな環境に適合するためにその姿をガラリと変えてきた。
まさにいま、銀行はそのような時代に足を踏み入れつつあるのだ。
銀行は未だに学生の就職志望ランキングの上位にある。
「安定している」ことを理由に、志望する(入行した)人も多いだろう。
しかし、銀行員に安定した人生を期待できる時代は終わった。
本書ではその具体的な光景を、
先行する欧米の銀行の事例を取り上げながら描いてみた。
いま、金融業界では何が起きているのか。
今後生き残るのはどのような銀行なのか。
そして、銀行員はこれからどう生きていけばいいのか。
そのヒントを提供できれば幸いである。
--------------------
【本書のおもな内容】
第1章 メガバンク「大量人員削減」の衝撃――瓦解した銀行神話
第2章 激変する銀行員人生――人員削減・配置転換の深層
第3章 米銀の現状に見る邦銀の未来――支店長の年収は激減
第4章 フィンテック時代の銀行――金融業の本質とは何か
■ 銀行の支店はシャッターを開けるたびに赤字!?
■ 三井住友がライバルに先んじるためにとった隠密行動とは!?
■ 証券ビジネスのほうが有望!?
■ 改革の面で大きく出遅れているメガバンクはどこ!?
■ 地方銀行の過半数が赤字!?
■ 銀行員の一生と再就職先とは!?
■ アメリカの銀行では支店長の年収は600万~700万円!?
■ 日本でも支店長の年収は激減し、“一国一城の主”からフロアマネジャーへ!?
■ 若手世代はもう銀行から逃げ出そうとしている!?
■ 銀行はどうやって人員を削減するのか!?
■ 今後、銀行の人事制度は変わり、配置転換が続出!?
--------------------
マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツが
「銀行機能は必要だが、今のかたちの銀行は消えてなくなる」
と唱えたのは、1994年のことだった。
それから20年以上経過した現在、予言は現実化しつつあるともいえる。
進化論的に生き残ったものは、
新たな環境に適合するためにその姿をガラリと変えてきた。
まさにいま、銀行はそのような時代に足を踏み入れつつあるのだ。
銀行は未だに学生の就職志望ランキングの上位にある。
「安定している」ことを理由に、志望する(入行した)人も多いだろう。
しかし、銀行員に安定した人生を期待できる時代は終わった。
本書ではその具体的な光景を、
先行する欧米の銀行の事例を取り上げながら描いてみた。
いま、金融業界では何が起きているのか。
今後生き残るのはどのような銀行なのか。
そして、銀行員はこれからどう生きていけばいいのか。
そのヒントを提供できれば幸いである。
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【本書のおもな内容】
第1章 メガバンク「大量人員削減」の衝撃――瓦解した銀行神話
第2章 激変する銀行員人生――人員削減・配置転換の深層
第3章 米銀の現状に見る邦銀の未来――支店長の年収は激減
第4章 フィンテック時代の銀行――金融業の本質とは何か
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2018/4/19
- 寸法10.8 x 1 x 17.4 cm
- ISBN-104062884747
- ISBN-13978-4062884747
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商品の説明
著者について
浪川 攻
経済ジャーナリスト。1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざいに入社。「週刊金融財政事情」編集部でデスクを務める。1996年退社し、ペンネームで金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌「Voice」の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年フリーとなって現在に至る。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄「奴雁」の哲学』(以上、東洋経済新報社)がある。
経済ジャーナリスト。1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざいに入社。「週刊金融財政事情」編集部でデスクを務める。1996年退社し、ペンネームで金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌「Voice」の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年フリーとなって現在に至る。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄「奴雁」の哲学』(以上、東洋経済新報社)がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2018/4/19)
- 発売日 : 2018/4/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 4062884747
- ISBN-13 : 978-4062884747
- 寸法 : 10.8 x 1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 390,860位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,429位講談社現代新書
- - 17,285位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年4月19日に日本でレビュー済み
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2018年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今の銀行に対する問題提起を含めて、非常に示唆に富む内容であったものの、最後の結論付けについては短略的、表層的すぎないだろうか。
不正の防止による異動制度について、キャッシュレス化で短期ローテーションは変わるとあるが、顧客との癒着による情実融資等の実施による不正は防げない。また、リレーションシップの強化と人事異動を関連付けているが、私はそうは思はない。銀行の強みは多様な業種、企業と接することで起業を見る目の醸成と顧客ネットワークの構築によるソリューション提案力であり、そのためには多くの拠点に学ぶことは重要なことである。
支店長のあり方についても、一部では外銀のスタイルが導入されることで、ここに記載されているような存在に変わる部分もあるだろうが、支店としての組織力の向上は法人営業をはじめとしてソリューション力による顧客とのリレーション強化において益々重要になってくるものである。また、今後の銀行に求められるソリューションには組織というチームは一層重要になってくるという点で、あまりにも軽率な結論だ。(勿論、支店長のリーダーシップと組織論に対する考え方に対する意識改革は必要になるが)
また、銀行のように企業をはじめ顧客との強固なリレーション、情報力等をベースとしてさまざまな課題解決ができる組織は銀行にしかできない役割であり、それはフィンテック時代が到来したとしても変わらないものであり、エリート層の力が十分に力を発揮できる組織として自己変貌を遂げながら、彼らの志向する組織として引き続き存続しえるものと私は思う。
不正の防止による異動制度について、キャッシュレス化で短期ローテーションは変わるとあるが、顧客との癒着による情実融資等の実施による不正は防げない。また、リレーションシップの強化と人事異動を関連付けているが、私はそうは思はない。銀行の強みは多様な業種、企業と接することで起業を見る目の醸成と顧客ネットワークの構築によるソリューション提案力であり、そのためには多くの拠点に学ぶことは重要なことである。
支店長のあり方についても、一部では外銀のスタイルが導入されることで、ここに記載されているような存在に変わる部分もあるだろうが、支店としての組織力の向上は法人営業をはじめとしてソリューション力による顧客とのリレーション強化において益々重要になってくるものである。また、今後の銀行に求められるソリューションには組織というチームは一層重要になってくるという点で、あまりにも軽率な結論だ。(勿論、支店長のリーダーシップと組織論に対する考え方に対する意識改革は必要になるが)
また、銀行のように企業をはじめ顧客との強固なリレーション、情報力等をベースとしてさまざまな課題解決ができる組織は銀行にしかできない役割であり、それはフィンテック時代が到来したとしても変わらないものであり、エリート層の力が十分に力を発揮できる組織として自己変貌を遂げながら、彼らの志向する組織として引き続き存続しえるものと私は思う。
2018年6月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカの現在の銀行の姿を通して、日本の銀行は今後どのような道を進んでいくのか、そして、銀行員はどう生きるべきか、を論じた時流の本を読んでみた。
銀行と銀行員は、これから大きな変革が待ち受けている。
フィンテックやAIによって、窓口業務や融資業務など銀行の多くの仕事が、どんどん人の手を介さなくなり、大幅に人員が削減される。
銀行員というだけでは、存在価値は大幅に低下する。普通の銀行員はもういらなくなる。
銀行員個人のスキルを磨いて、コンサル能力やコミュニケーション能力などを磨いていかないと、生き残れなくなる。
************************
一方、銀行を利用する顧客から見れば、将来の銀行は、今より一層使い易い便利な銀行となりそうだ。
待ち時間が長い、要求される書類や記入する書類が多い、敷居が高い、などなど顧客が兼ねてから不満を持つ、銀行の負のイメージ。
アメリカを例に取れば、そういった銀行の負のイメージを払拭し、顧客の満足度を大幅に向上させた銀行が生き残るからだ。
************************
以下は、この本のブックレビューと、私の感想が入り混じった長文。
興味あれば、お時間あるときにどうぞm(_ _)m
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マイナス金利の長期化により、銀行の収益性は著しく低下。フィンテックの進展は銀行のビジネスモデルを大きく変えようとしている。
メガバンクが来年度は採用人員を大幅抑制することが報じられた。銀行が生き残るためには大きな変革が不可避、
という内容の本だ。
////////////////////////////////////////////
著者はアメリカの銀行の現状を紹介している。
米で起こったことは、時間を置いて日本でも実現するのは、歴史が物語っている。
米銀はリーマンショックで屋台骨を揺るがす大打撃を受けたが、10年足らずで大幅な変革を実現し、再生を遂げつつある銀行を紹介している。
キーワードは、店舗合理化と顧客満足度向上。
米銀の店舗合理化は衝撃的だ。
銀行内に入ると、居るのは支店長と2、3人の窓口担当者。あとはATM、テレビモニター。
店内全てがロビーとなっており、日本の銀行に見られるような、窓口の後ろの広い事務室は無い。事務は本部集中、若しくはAI対応だ。
支店長はフロアマネージャーとして一日中ロビーに立つ。顧客と話し、適切なコーナーに案内したり、相談に乗ったりする。
もちろん支店長室など無い。
投資やローンなど専門的な相談を受けた場合は、本部行員が待機するテレビモニターへと誘導する。
とにかく、支店ではできる限り人員とスペースを削減するという発想なのだ。
////////////////////////////////////////////
店舗合理化と同時に、顧客満足度の向上を米銀は目指した。
確かに以前の米銀の窓口対応はひどかった。
もう20年以上前の話になるが、私が米に行った時、銀行にいってみたら、顧客は窓口の前に立たされて列ばされていた。椅子などない。
真顔で仏頂面の行員に、「NEXT」とか言われながら、順に処理されてる感じだった。
まあ、米の銀行は皆こんな感じですよと、当時の駐在員が話していたのを覚えている。
今は違う。
フロアマネージャー化した支店長が、時間をかけずに適切な窓口へと顧客を案内する。
お待ち時間の根絶が第一義だ。
支店長も担当者も笑顔で対応。コミュニケーション能力は必須だ。
スターバックスの店員さんの様に。
////////////////////////////////////////////
顧客はペンで字を書かない。判子も必要ない。ただ、iPadのようなタブレットに触れるだけ。
AIをフル活用して無人化店舗もどんどん増やす。キャッシュレスの銀行も普通だ。
ただし、店舗チャネルは重視するので、店舗数は寧ろ増やす。
AIを駆使して店舗は効率化するが、店舗数は増やして顧客満足度を向上させる。
こういう離れ業を実現しているのが、アメリカで生き残っている銀行の現状だそうだ。
果たして日本の銀行はそこまで変われるか。
変わらないと生き残れないというのが、筆者の主張だ。
それに近い支店が日本にもあるそうだ。
それは三井住友銀行の中野坂上支店。
一度、見学に行ってみないと。
////////////////////////////////////////////
銀行業務で多大なコストがかかっている業務と言えば、窓口業務と融資業務だろう。
どちらも多くの人員と膨大な事務量を費やしている。
一つ一つの作業を分解してAI化すれば、劇的に時間を削減できる作業が多い。
フィンテック企業から見れば、銀行業務は宝の山に見えるそうだ。
現にフィンテック企業でシステム開発をするスタッフは元銀行員が多く、銀行業務に精通した人達ばかりだ。
////////////////////////////////////////////
振込や公共料金支払い等は、コンビニ等外部に大幅に流失した。
銀行は、業務効率化に繋がると外部流出を許容したが、それは大きな間違いで、お金の流れというビックデータも同時に流失してしまった。
銀行は今、顧客のお金の流れが見えにくくなっていると筆者は忠告する。
////////////////////////////////////////////
新興のフィンテック企業が次に狙っているのは、融資業務だ。
銀行が膨大なコストをかけておこなっている融資業務を、大量のビックデータとAIを活用して、根こそぎ奪い取ろうと目論んでいると、筆者は述べる。
電子店舗ネットワークに参加している顧客企業は、そのネットワーク運営会社が提供する、ローンを活用する機会が多い。
ネットワーク運営会社は資金の流れを把握しているので、顧客企業のビックデータを入手でき、顧客企業の信用力をある程度判断できる。
銀行に口座は開設しても、その銀行では借り入れや住宅ローンを利用しないというパターンがどんどん増えているということだ。
こういう流れに銀行はどう対応すれば良いのだろうか。
また、個人個人の銀行員はどうすればいいのか。銀行に入れば安泰、ということは全く無くなった。
銀行員として何が出来るのか、スキルを磨き、資格等、外部から見て判断できるスキル力、コンサルティング能力を身につけていかないと、生き残れない。
////////////////////////////////////////////
仮想通貨の存在も気になる。
今は投機対象の面ばかりが強調されるが、
将来、円やドルなどのリアル通貨を脅かして、
決済通貨の中心的な存在になる可能性を予感するのは、私だけでは無いと思う。
////////////////////////////////////////////
私が30年以上前に銀行に就職した時、中途退職した人は数人だった。
しかし今や、就職した銀行員の3分の1、年次によっては半分が退職するという。
就職の人気ランキングも、年々下がってるいるらしい。若者が、銀行を敬遠しつつある。
私が銀行に就職する時「銀行 冬の時代」と言われていた。
現在は、従来の銀行ビジネスモデルが大幅な変革を迫られている。銀行という言葉自体が現実にマッチしなくなってきた。
あらゆる企業・個人がフィンテックを武器に金融ビジネスに参入。金融ビジネスはもはや、銀行だけのものでは無くなっている。
今は「銀行消失の時代」かも知れない。
銀行と銀行員は、これから大きな変革が待ち受けている。
フィンテックやAIによって、窓口業務や融資業務など銀行の多くの仕事が、どんどん人の手を介さなくなり、大幅に人員が削減される。
銀行員というだけでは、存在価値は大幅に低下する。普通の銀行員はもういらなくなる。
銀行員個人のスキルを磨いて、コンサル能力やコミュニケーション能力などを磨いていかないと、生き残れなくなる。
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一方、銀行を利用する顧客から見れば、将来の銀行は、今より一層使い易い便利な銀行となりそうだ。
待ち時間が長い、要求される書類や記入する書類が多い、敷居が高い、などなど顧客が兼ねてから不満を持つ、銀行の負のイメージ。
アメリカを例に取れば、そういった銀行の負のイメージを払拭し、顧客の満足度を大幅に向上させた銀行が生き残るからだ。
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以下は、この本のブックレビューと、私の感想が入り混じった長文。
興味あれば、お時間あるときにどうぞm(_ _)m
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マイナス金利の長期化により、銀行の収益性は著しく低下。フィンテックの進展は銀行のビジネスモデルを大きく変えようとしている。
メガバンクが来年度は採用人員を大幅抑制することが報じられた。銀行が生き残るためには大きな変革が不可避、
という内容の本だ。
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著者はアメリカの銀行の現状を紹介している。
米で起こったことは、時間を置いて日本でも実現するのは、歴史が物語っている。
米銀はリーマンショックで屋台骨を揺るがす大打撃を受けたが、10年足らずで大幅な変革を実現し、再生を遂げつつある銀行を紹介している。
キーワードは、店舗合理化と顧客満足度向上。
米銀の店舗合理化は衝撃的だ。
銀行内に入ると、居るのは支店長と2、3人の窓口担当者。あとはATM、テレビモニター。
店内全てがロビーとなっており、日本の銀行に見られるような、窓口の後ろの広い事務室は無い。事務は本部集中、若しくはAI対応だ。
支店長はフロアマネージャーとして一日中ロビーに立つ。顧客と話し、適切なコーナーに案内したり、相談に乗ったりする。
もちろん支店長室など無い。
投資やローンなど専門的な相談を受けた場合は、本部行員が待機するテレビモニターへと誘導する。
とにかく、支店ではできる限り人員とスペースを削減するという発想なのだ。
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店舗合理化と同時に、顧客満足度の向上を米銀は目指した。
確かに以前の米銀の窓口対応はひどかった。
もう20年以上前の話になるが、私が米に行った時、銀行にいってみたら、顧客は窓口の前に立たされて列ばされていた。椅子などない。
真顔で仏頂面の行員に、「NEXT」とか言われながら、順に処理されてる感じだった。
まあ、米の銀行は皆こんな感じですよと、当時の駐在員が話していたのを覚えている。
今は違う。
フロアマネージャー化した支店長が、時間をかけずに適切な窓口へと顧客を案内する。
お待ち時間の根絶が第一義だ。
支店長も担当者も笑顔で対応。コミュニケーション能力は必須だ。
スターバックスの店員さんの様に。
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顧客はペンで字を書かない。判子も必要ない。ただ、iPadのようなタブレットに触れるだけ。
AIをフル活用して無人化店舗もどんどん増やす。キャッシュレスの銀行も普通だ。
ただし、店舗チャネルは重視するので、店舗数は寧ろ増やす。
AIを駆使して店舗は効率化するが、店舗数は増やして顧客満足度を向上させる。
こういう離れ業を実現しているのが、アメリカで生き残っている銀行の現状だそうだ。
果たして日本の銀行はそこまで変われるか。
変わらないと生き残れないというのが、筆者の主張だ。
それに近い支店が日本にもあるそうだ。
それは三井住友銀行の中野坂上支店。
一度、見学に行ってみないと。
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銀行業務で多大なコストがかかっている業務と言えば、窓口業務と融資業務だろう。
どちらも多くの人員と膨大な事務量を費やしている。
一つ一つの作業を分解してAI化すれば、劇的に時間を削減できる作業が多い。
フィンテック企業から見れば、銀行業務は宝の山に見えるそうだ。
現にフィンテック企業でシステム開発をするスタッフは元銀行員が多く、銀行業務に精通した人達ばかりだ。
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振込や公共料金支払い等は、コンビニ等外部に大幅に流失した。
銀行は、業務効率化に繋がると外部流出を許容したが、それは大きな間違いで、お金の流れというビックデータも同時に流失してしまった。
銀行は今、顧客のお金の流れが見えにくくなっていると筆者は忠告する。
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新興のフィンテック企業が次に狙っているのは、融資業務だ。
銀行が膨大なコストをかけておこなっている融資業務を、大量のビックデータとAIを活用して、根こそぎ奪い取ろうと目論んでいると、筆者は述べる。
電子店舗ネットワークに参加している顧客企業は、そのネットワーク運営会社が提供する、ローンを活用する機会が多い。
ネットワーク運営会社は資金の流れを把握しているので、顧客企業のビックデータを入手でき、顧客企業の信用力をある程度判断できる。
銀行に口座は開設しても、その銀行では借り入れや住宅ローンを利用しないというパターンがどんどん増えているということだ。
こういう流れに銀行はどう対応すれば良いのだろうか。
また、個人個人の銀行員はどうすればいいのか。銀行に入れば安泰、ということは全く無くなった。
銀行員として何が出来るのか、スキルを磨き、資格等、外部から見て判断できるスキル力、コンサルティング能力を身につけていかないと、生き残れない。
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仮想通貨の存在も気になる。
今は投機対象の面ばかりが強調されるが、
将来、円やドルなどのリアル通貨を脅かして、
決済通貨の中心的な存在になる可能性を予感するのは、私だけでは無いと思う。
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私が30年以上前に銀行に就職した時、中途退職した人は数人だった。
しかし今や、就職した銀行員の3分の1、年次によっては半分が退職するという。
就職の人気ランキングも、年々下がってるいるらしい。若者が、銀行を敬遠しつつある。
私が銀行に就職する時「銀行 冬の時代」と言われていた。
現在は、従来の銀行ビジネスモデルが大幅な変革を迫られている。銀行という言葉自体が現実にマッチしなくなってきた。
あらゆる企業・個人がフィンテックを武器に金融ビジネスに参入。金融ビジネスはもはや、銀行だけのものでは無くなっている。
今は「銀行消失の時代」かも知れない。
2018年5月26日に日本でレビュー済み
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金融業界の現状、課題、米銀が辿った経緯が分かり易く説明されています。
内容は金融の世界ですが、デジタルと仕事の関係のとらえ方、業務をサービスとして位置づけることの意味、向かうべき方向性など、他分野で働く人にも参考にできるような情報があります。
フィンテックの進化や劇的に変化する米銀の店舗を目の当たりにしながらも、変化しようとしない邦銀の姿勢に金融庁が激怒する様子などリアルな描写が面白い。
内容は金融の世界ですが、デジタルと仕事の関係のとらえ方、業務をサービスとして位置づけることの意味、向かうべき方向性など、他分野で働く人にも参考にできるような情報があります。
フィンテックの進化や劇的に変化する米銀の店舗を目の当たりにしながらも、変化しようとしない邦銀の姿勢に金融庁が激怒する様子などリアルな描写が面白い。
2018年5月25日に日本でレビュー済み
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結論は、非常に正しいと思うが、途中はね…。AIはそういうものではない。
2019年12月26日に日本でレビュー済み
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現役銀行員ですが、銀行の現状と銀行業界の今後の展望が的確に書かれていてとても勉強になることが多かったです。支店長や経営層はもちろん、銀行への就職を考えている就活生にも読んでもらいたいと思いました。これを読んで
「それでも銀行に入って仕事をしてみたい」と思える人は銀行に入っても頑張れる人だと思うので、是非一度まずはこれを読んでみることをおすすめします。
「それでも銀行に入って仕事をしてみたい」と思える人は銀行に入っても頑張れる人だと思うので、是非一度まずはこれを読んでみることをおすすめします。
2018年7月22日に日本でレビュー済み
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日本の経済の生産性の低さは、金融、行政が足を引っ張っているように思ってます。規制改革という考えも必要でしょうが、効率性・生産性・利便性という思考で、銀行組織を考える必要に迫られていると感じていましたが、業界はどのような魅力ある未来を、顧客と社員に示すことができるのだろうか?