まずこれは小説の体をした一種の哲学書と思った方がいいかもしれません。恋愛要素はちょろっとしかありません。いや全くありません。
いわゆる「恋愛小説」では決してないのでそこは変な期待はしない方がいいです。
以後ネタバレ気味注意
文体は独特です。これが私にとって初の円城塔だったということもあり、私の初読後の感想は「書き方うぜえええええええええええええ」でした。
それから数ヶ月、私は失恋しました。
それも好きだった相手と尊敬していた人に裏切られる形で。
その直後に聴いたOfficial髭男dismの「Pretender」は心に刺さりました。
特にBメロの歌詞(「〜違う世界線選べたら良かった」など)が自分の心境とあまりにも重なり、ずっとその思いから抜け出せずにいました。
ある日ふと、思い出しました。
まるでそのBメロの内容が実現できるとしたらどうなるかを突き詰めて思考実験したかのような作品があることを。
そう、『チュートリアル』です。
もう一度読みました。
そして気付きました。
仮に違う世界線が選べたとして、更に結ばれたとして、ではそれは私と呼べるのか。
今のこの世界線ではきっと結ばれ「なく」べくして結ばれ無かったのだろう、もし結ばれていたらその時には自己または相手のアイデンティティが大きく変容し犠牲になっていたのだろう、そう思えるようになりました。
ようやく、私のチュートリアルが終わりました。
やっと前へ踏み出せます。
この本には感謝しかありません。
ありがとうございました。
PS
そういう訳で失恋した人にオススメですが、初読後は多分「うぜえええええええええええええ」ってなると思います。でも2回目以降は話の骨格が分かっているので結構流し読みできます。だから「あぁ、うぜぇなぁ、もう…///」という謎の安心感・満足感が得られます。癖になるウザさです。
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チュートリアル (Kindle Single) Kindle版
「地面から十数センチのところに浮かぶ、透き通った青い結晶。水晶や方解石に似せられることがほとんどだが、濁りのない完全な球体ということもある」――こう描写される「セーブポイント」は類まれな機能を秘めている。どこからともなく現れ、地上に遍在する「セーブポイント」で、人間はその時点までの人生を「セーブ」すると同時に、過去に「セーブ」したどこかの時点を「ロード」で呼び出せば、たちまち保存した状態に戻る。未来の記憶をかすかに抱いたまま、人生を何度もやり直すことができるのだ。
ある街の「セーブポイント」で、「この話の主人公」(男性)と、「また別の話の主人公」(女性)が偶然に出会うところから、物語は始まる。「チュートリアル」と呼ばれる街は、突然生まれたばかりでキャラクターとして初心者の彼女にとって、もってこいの場所だ。ここから二人は、どういう関係を育んでゆくのか? 思索と刺激に満ちた近未来SFの佳編。
ある街の「セーブポイント」で、「この話の主人公」(男性)と、「また別の話の主人公」(女性)が偶然に出会うところから、物語は始まる。「チュートリアル」と呼ばれる街は、突然生まれたばかりでキャラクターとして初心者の彼女にとって、もってこいの場所だ。ここから二人は、どういう関係を育んでゆくのか? 思索と刺激に満ちた近未来SFの佳編。
- 言語日本語
- 出版社Amazon Publishing
- 発売日2018/8/28
- ファイルサイズ1569 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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商品の説明
著者について
円城塔(えんじょう・とう)
北海道札幌市生まれ。2007年、『オブ・ザ・ベースボール』で第104回文學界新人賞、2010年、『烏有此譚』で第32回野間文芸新人賞、2011年、第3回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、2012年、『道化師の蝶』で第146回芥川龍之介賞受賞。2014年、『Self-Reference ENGINE』 で Philip K. Dick Award, special citation 受賞。Kindle Singlesに「リスを実装する」「世界でもっとも深い迷宮」がある。
北海道札幌市生まれ。2007年、『オブ・ザ・ベースボール』で第104回文學界新人賞、2010年、『烏有此譚』で第32回野間文芸新人賞、2011年、第3回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、2012年、『道化師の蝶』で第146回芥川龍之介賞受賞。2014年、『Self-Reference ENGINE』 で Philip K. Dick Award, special citation 受賞。Kindle Singlesに「リスを実装する」「世界でもっとも深い迷宮」がある。
登録情報
- ASIN : B07G939VTR
- 出版社 : Amazon Publishing (2018/8/28)
- 発売日 : 2018/8/28
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1569 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 30ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 10,253位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 857位日本の小説・文芸
- カスタマーレビュー:
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2020年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
仕組みの理解に、初め頭が、追いつかない面が、あった。三人称的書き方が、リアリティーを、感じにくかったのかも知れない。
場面展開も、どちらかというと希薄で、登場人物の心理が、?であった。
ただ、「奇妙な世界の奇妙な人」というところは、十分感じられた。いつの間にか、星新一的世界に迷いこんでいた。
場面展開も、どちらかというと希薄で、登場人物の心理が、?であった。
ただ、「奇妙な世界の奇妙な人」というところは、十分感じられた。いつの間にか、星新一的世界に迷いこんでいた。
2018年9月2日に日本でレビュー済み
イーロンマスクが語っていた”人類はコンピューターシミュレーションの中で生き
ている”という少し突飛で、でももしかしたら有り得るかも的な説がありましたが
、そんな感じを背伸びしないありきたりの日常の中に描いた短編という感じです。
セーブやロードという言葉が多く、どちらかといえばゲームの世界ですね。
でも正直、提示される物事とその説明の一房一房。そして頻繁なタイムラインの
前後の想像とその連続にちょっとグッタリしました。
例えるなら、まるで間欠的に生えているどこにでもある樹木を延々と案内されて
いるような感じでしょうか。
この木は広葉樹で葉は広い、秋になると葉が黄色くなり、やがて落ちる。ああ、
確かにその通りですね。
そして暫く歩き、そして立ち止まり。この木は枝別れが多く、葉も多いので雨が
降ると雨宿りする人もいるかも知れない。でも傘を持っていれば雨宿りする必要
は無いだろう。
うん、確かにその通り。で、また少し歩き、この木はブナです。でもブナでなく
てもいいかも知れない。
あちらに杉がありますが、本来はあれがブナであるかもしれない。でも、それは
あまり関係ない。みたいなそんな感じがずっと続いていきます。
この状態であったらこうなるであろう事を只淡々と、その事象を取り囲む様にい
くつも思いつくままの全ての方向へ語って盾のように置いていきます。そして揺
らいではいけない筈の設定も当てにならないかもしれないよと言う話で、全ては
読み手の受け取り方ひとつといった趣なので、評価は読者次第で変わるでしょう。
まあ、虚飾が無いのがこの作家さんの良いところなのでしょうが、考えさせられ
る面白さは在っても物語それ自体の面白さは今ひとつ希薄です。全体的にフラッ
トなまま山も無くオチまで進み、オチもなんとなく通り過ぎる感じなので、何と
も単調ですがそれがいいといえばそうかも知れないですね。
只、考えさせられた人達はそこからの思考の自力飛翔で少し愉しめるという補完
的な魅力があるかも知れません。
ている”という少し突飛で、でももしかしたら有り得るかも的な説がありましたが
、そんな感じを背伸びしないありきたりの日常の中に描いた短編という感じです。
セーブやロードという言葉が多く、どちらかといえばゲームの世界ですね。
でも正直、提示される物事とその説明の一房一房。そして頻繁なタイムラインの
前後の想像とその連続にちょっとグッタリしました。
例えるなら、まるで間欠的に生えているどこにでもある樹木を延々と案内されて
いるような感じでしょうか。
この木は広葉樹で葉は広い、秋になると葉が黄色くなり、やがて落ちる。ああ、
確かにその通りですね。
そして暫く歩き、そして立ち止まり。この木は枝別れが多く、葉も多いので雨が
降ると雨宿りする人もいるかも知れない。でも傘を持っていれば雨宿りする必要
は無いだろう。
うん、確かにその通り。で、また少し歩き、この木はブナです。でもブナでなく
てもいいかも知れない。
あちらに杉がありますが、本来はあれがブナであるかもしれない。でも、それは
あまり関係ない。みたいなそんな感じがずっと続いていきます。
この状態であったらこうなるであろう事を只淡々と、その事象を取り囲む様にい
くつも思いつくままの全ての方向へ語って盾のように置いていきます。そして揺
らいではいけない筈の設定も当てにならないかもしれないよと言う話で、全ては
読み手の受け取り方ひとつといった趣なので、評価は読者次第で変わるでしょう。
まあ、虚飾が無いのがこの作家さんの良いところなのでしょうが、考えさせられ
る面白さは在っても物語それ自体の面白さは今ひとつ希薄です。全体的にフラッ
トなまま山も無くオチまで進み、オチもなんとなく通り過ぎる感じなので、何と
も単調ですがそれがいいといえばそうかも知れないですね。
只、考えさせられた人達はそこからの思考の自力飛翔で少し愉しめるという補完
的な魅力があるかも知れません。
2022年3月10日に日本でレビュー済み
ずーっと取説を読まされる。それを面白いと思うかは読み手の感性によると思いますが、私には退屈でした。
2019年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
セーブポイントという、ロールプレイングゲームをやったことがある人間なら誰しも知っている概念を、言葉遊びから始め、SFとして深く掘り下げていく作品
いつもの円城塔の文体が、好きなら買うことをオススメする。
本作を読みながら今までプレイしてきたゲームを思い出すと、なかなか感慨深い。
ゼノギアスや、undertaleなど、セーブに重要なギミックをもたせる作品もあるが、文中のそれはなんとなくこれらの作品を示している気がする。
内容的にタイムマシン物の新しい切り口とも考えられるし、他人が「ロード」するなんて発想はドラマのトラベラーズを彷彿とさせられる
いつもの円城塔の文体が、好きなら買うことをオススメする。
本作を読みながら今までプレイしてきたゲームを思い出すと、なかなか感慨深い。
ゼノギアスや、undertaleなど、セーブに重要なギミックをもたせる作品もあるが、文中のそれはなんとなくこれらの作品を示している気がする。
内容的にタイムマシン物の新しい切り口とも考えられるし、他人が「ロード」するなんて発想はドラマのトラベラーズを彷彿とさせられる
2018年9月6日に日本でレビュー済み
セーブポイントについてそこまで考えたことはなかったが、確かに改めて考えると不思議なものだと思う。
いわゆるループものの視点は、(物語の構造上仕方ないことだが)単数になるが、複数の視点で考えると非常に複雑になる。。。そんなことをやろうとしたのだと個人的には理解した。
非常に実験的な作品。
いわゆるループものの視点は、(物語の構造上仕方ないことだが)単数になるが、複数の視点で考えると非常に複雑になる。。。そんなことをやろうとしたのだと個人的には理解した。
非常に実験的な作品。
2022年1月3日に日本でレビュー済み
これまで読んだことのない設定で、最初は戸惑いますが、
セーブポイントの仕組みが見えてくると、そういうもの
なのかな?という感じになります。
ただ、頭がうまく切り替わらなかったので、読んだけど、
何だったんだろう、という感じで、多分、セーブもロード
もすることもないかな。
セーブポイントの仕組みが見えてくると、そういうもの
なのかな?という感じになります。
ただ、頭がうまく切り替わらなかったので、読んだけど、
何だったんだろう、という感じで、多分、セーブもロード
もすることもないかな。