そして永田町の昼下がりに(9)

2018/08/09 19:23
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のつづき
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きれい事では、なにも、進まない。
 
山岡に帯封をひとつ返して、俺はまたひとつ、悪を重ねるのかもしれない。
ただ、そもそも、カネの出所は、絶対に表に出ないところだろう。山岡が持って来た金だ。しかも500万円。
官房機密費である事はほぼ、間違いないだろう。

もっといえば、山岡は受け取ったカネを全部俺に渡しているかどうかもわからない。俺が同じ立場でもそうするだろう。なぜなら、この話を俺一人に委ねて失敗した場合、どうしようもなくなる。敏腕な山岡のことだ、おそらく他の人間にも同じように金を渡して「うまく処理する」ように働きかけていることだろう。
一般では理解しがたい話だと思うが、通常、永田町から何かを頼まれて金が出ることなんてほとんど無い。出ること自体がすごいのだ。そして、そういう金は、秘書はピンハネするのが当たり前なのだ。いや、当たり前というより、そうやって「キックバック」をすることが、常識だ。
100万円を俺は山岡に返した。これは同時に、山岡に「あんたも共犯だ」ということを示している。言葉には出さないが。
 
山岡の腹はわかった。100万円のキックバックを受けとったということは、そういうことでもあるのだ。
 
一方、面倒な話になった、ということでもある。
この400万円で、なんとかしなければならない。もちろん、失敗しても誰にも責められることはないだろうが、その後の「闇仕事」は来なくなる。
 
とりあえず、小竹に連絡をしよう。そう思って、弁当を食べてから先に店を出た。
 

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