二階堂・私の履歴書(仮)6-A

2017/05/08 16:28
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【本連載は、時系列が前後しますが(仮)なのでお許しください。ちなみに5−Aの「5」は連載回数、「A」は初版です。もし追記や改正すると「B」となり、書いていないエピソードを付け加えたりします。】

 http://www.j-cia.com/archives/13305
【↑前回・高校編】
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自分で選んだ道なのである。だから致し方ないのだ。
 
私はとある公園に身を潜めていた。そこはすっかり冬で、夏ならやぶ蚊の餌食になったであろうと考えるとまだマシだ、とも思うものの、とにかく寒い。防寒はしているが、黒一色の上下。イヤホンまで黄色い。
 
「C、動きは」
「ありません」
 
このころ、なぜか、私は北朝鮮担当捜査員みたいなことをしていた。自分でも、「これは騙されているのではないか」といつも、思っていた。
 
「南から接近者」
南は俺のいるほうである。イヤホンの音も最小限にしているし漏れることはないのだが、いやがおうにも緊張する。3時間近くうずくまっていたので、思うように体が動かない。 

 ブシュ、と音がして、グっ、という声にならない声が少しだけ静寂の邪魔をした。
 
「発砲!両者確保せよ」 

 ほかにもグダグダ無線が流れていたような気がするが、どうでもいい。とにかく確保だ。

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