【Tの分析】最近のEUの動きに関する一考察

2020/02/24 18:37
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2020年2月21日、EU(欧州連合)首脳会議が2021年から7年間の中期予算4案に関して合意が形成できないまま閉幕した。
英国のEU(欧州連合)からの離脱により英国が7年間で支払う予定だった750億ユーロ(およそ9兆円にのぼる)拠出金にかわる「財源」とEU(欧州連合)の財政政策に関する合意が形成されなかったことが大きな理由である。
英国のEU離脱による英国の拠出金の穴埋め、EU予算の縮小、EUからEU政策によりEU加盟諸国にたいして再分配される補助金等の縮小等がEUとEU加盟諸国にとって喫緊の大きな課題となっており、いわゆる「負担」をどのように分配して担うのかを巡り、特にフランスとドイツの間でコンセンサス形成の本格的なプロセス(当然、水面下の激しい交渉はすくなくとも英国のEU離脱がほぼ確定した昨年には開始されていたものと思われる)は、始まったばかりといえよう。
英国のEUからの離脱による「英国なきEUとEU加盟諸国27ヵ国」の結束に対する「疑義」を払拭し、「EU設立の本義」、「EUのraison d’être」、そして「EUの正統性と正当性」をアピールする場としてEU執行部は当該EU首脳会議を位置付けていたが、それはかなわなかったといえよう。
だが、英国が加盟していたいままででさえ、EUのコンセンサス形成は一筋縄ではいかないものであり続けてきたことを踏まえると、英国離脱後のEUのコンセンサス形成やその制度化の新たなプラクティスと考えれば、今回の当該EU首脳会議が首尾よく行かなかったことは、ある意味、予想通りであった。

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