【Tの視点】大注目!ボリス・ジョンソン英首相の誕生に関する一考察

2019/08/04 09:49
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2019年7月23日、英保守党は、テリーザ・メイ英保守党党首・英首相の後任を選ぶ党首選において、ボリス・ジョンソン氏を新党首に選出した。
およそ16万人の英保守党員による英保守党党首選の決選投票でボリス・ジョンソン氏は9万2153票を獲得した。対抗馬のジェレミー・ハント氏の獲得票4万6656票の2倍もの支持を獲得して、ボリス・ジョンソン氏は英保守党党首選に勝利したのである。
2019年7月24日、ボリス・ジョンソン氏は新英首相に就任。
2019年7月24日、ボリス・ジョンソン英首相は新たに組閣した「ボリス・ジョンソン内閣(メイ政権から引き続き留任となったバークレイEU離脱担当相以外、ほぼEU強硬離脱派の面々であり、穏健派を一掃したといえる)」の初閣議を開催し、その後、「英庶民院」においてボリス・ジョンソン政権の基本方針を演説した。
「ボリス・ジョンソン政権」は、きわめて乱暴に言ってしまうと、ボリス・ジョンソン英首相のおよそここ十年弱の言動を見ても分かるように、「英国のEU離脱」と「英国のEU離脱問題の収拾」のための政権といえるであろう。
ボリス・ジョンソン氏は自他ともに認める歴史的役割を「英国のEU離脱」問題に置いている。
およそ2010年を境に、英国内のエスタブリッシュメント層の一部に、次世代に向けた英国のサバイバル戦略・国家戦略・世界戦略において、「大陸と、EUと、距離をとる、スタンスをとる必要がある(現在の状況は、スタンスが近すぎる)」という認識が広がり、「英国のEU離脱」は避けて通ることはできない、「英国は現在、そして予想される今後のEUからは距離をとり、英国のEU離脱もいとわない、EUから離脱したほうがよい」といった認識の「クラスター(ブレア政権で抑えられていたEUへの不満、異議申し立て)」が復活し、そのクラスターの象徴的な存在としてボリス・ジョンソン氏(もちろん自身の政治的信条や自身のキャリア戦略等もあり、自らも望んだものであったろう)が脚光を浴びることになった。
トランプ米大統領の誕生の背景には、「反・オバマ」・「反・クリントン」、つまりオバマ政権やクリントン政権の政治・外交に対する「異議申し立て」と「不満」が大きく働いたものといえるが、今回の「英国の離脱問題」や「ボリス・ジョンソン氏の英保守党党首・英首相就任とジョンソン内閣の誕生」の背景には、「反・ブレア」、ブレア政権の政治・外交に対する「異議申し立て」と「不満」が大きく働いているものと思われる。
「第二次世界大戦」、そして「冷戦の終結・ソ連邦の崩壊」を経て、英国と米国において、冷戦後に現れたブッシュ(シニア)政権における世界新秩序(ブッシュ・シニア米大統領、ブレントスコウクロフト氏)の現代版・修正版といった趣の、次世代に向けた「新秩序」の構築(現在の国際社会秩序と同盟の見直しと再構築)の「模索」といった「通奏低音」の発露として、米国ではドナルド・トランプ米大統領、英国ではボリス・ジョンソン英首相の誕生といった結果につながったといえよう。

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