【Tの分析】トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判における無罪評決に関する一考察

2020/02/09 06:24
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2020年2月5日、米議会上院はトランプ米大統領のいわゆる「ウクライナ疑惑」をめぐる弾劾裁判で、米議会上院(定数100)は「権力乱用」と「議会妨害」のいずれについても無罪評決を下した。
トランプ氏は罷免を免れた。
4カ月余りに及んだ弾劾を巡る論争(ロシア疑惑を含めるとかなり長期)や政治闘争・権力闘争に決着がついたことになる。
米大統領弾劾に関する手続きを確認するとおおよそ以下のとおりであろう。
当該案件におけるいわゆる大統領弾劾・訴追権限は訴追権限を持つ米議会下院で単純過半数の賛成で訴追される。
その後、弾劾裁判を行う米議会上院において、米連邦最高裁判所長官が裁判長となり弾劾裁判がすすめられ、最終的に米議会上院の出席議員の3分の2以上の賛成・評決で弾劾が決定されることになる。
今回の米議会上院での当該案件・弾劾に関する評決は、「権力乱用の評決」では、民主党と無所属の全議員に加えて以前よりトランプ米大統領に批判的な姿勢をとってきたロムニー上院議員(共和党)を加えた48人が有罪に、共和党の52人は無罪に投票。
「議会妨害に関する評決」では、共和党の全議員53人が無罪に投票した。
結局、「権力乱用」と「議会妨害」の2件とも、必要な評決(=出席議員の3分の2以上の賛成・評決、定数100の上院において単純計算で弾劾に必要となるのは67票の賛成)に達しなかったのである。

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